人事制度の根幹、評価制度はどう作ればよいか

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人事制度は会社経営の根幹であり、評価、等級、報酬の3つの制度に分かれるということ、そして評価制度と等級制度が表裏一体であることを既に書きました。強調しなければならないのは、等級制度の設計と運用が円滑に進むかどうか、は適切な評価制度を構築できるかどうか、によるのです。

人事制度の構想を描く中で、最も悩ましいのが評価制度

人事制度の決め方は、まずは企業の方向性を明確にすることから始まります。それを終えたならば、企業の現状と進むべき目標との差を確認する作業が必要です。目標とは、企業業績、事業の達成度だけではなく、従業員満足度や、社会貢献活動なども含めたものです。

もし、そこで、目標との差異があるのなら、それを企業の経営目標としてきちんと設定していくとともに、人事制度の中で、社員の能力や、貢献度を評価するための基準を考えていきます。

全社員に同じ基準を適用するのか、業種ごとに適用か

基準を設定していく時に、全社員一律に基準を設定するのか、部門ごとに基準を変えるのか、は、企業によって異なります。一般的には企業が創業してまもなくの時期は「営業だけで伸びてきた」とか「うちはIT技術者だけ」などシンプルな組織なので、全社員一律基準は受け入れやすい条件が整っています。

一方で、複数の企業が合併してできた時に人事制度を改革するとか、単一の商品を複数の部門で分担して売っているような組織などでは、部門ごとに基準を変える必要が生じ、その一部の部門だけを優遇しないとか、などの「言葉遣い」にも丁寧さが求められます。

上司が評価することは、「決まりごと」ではありません

基準そのものは、社員のモチベーションを高めるためのものです。そして、近年、人事制度の評価の面では「誰が評価するのか」の明確化が注目されています。一線社員を上司が、上司をその上司が、とピラミッドのように上から見下ろして評価するのでなく「360度評価」の導入が徐々に広がっているのです。

360度評価は、同僚や、部下からの評価も含めて、多面的に評価される点に特徴があります。必ず360度というわけでなく「多面評価」と言えばより正確です。上司の目に映りにくい人物像に注目を当てることで、評価基準以外にも使える場面が出てきます。

評価をどこまで開示するか、も時代によって変わります

人事評価制度を社員に開示した上で導入しても、各社員個人の評価の内容、根拠は非公開にしている例は多いのですが、評価される側から見れば、自分自身が会社からどのように評価されているか、なぜ、そう評価されているかを知りたいのも当然です。

年功序列が崩れ、非正規と正規、女性と男性、高齢者と若手の区別なく働く時代に近づいている現状では、人事制度も選択肢が広がって当然。そして、どの程度公開するか、は現場によって異なりますが、それも社員の納得あってこそ。流れは、「本人にも公開する方向で考える」にあります。