人事制度改定のポイントを総まとめ。成功を掴むカギとは

女性

人事制度は企業の成長とともにアップデートしていかなければなりません。
また時代の流れとともに人事制度も変化していかなければ、周りの企業に遅れを取ってしまいます。
ここでは人事制度を改定する際のポイントをご紹介します。

人事制度改正のタイミング

人事制度は一定の区切りで改定し、アップデートする必要があります。様々なタイミングで人事制度を改定していかなければ、会社内の信頼や、会社全体の利益などに関わることもあるためです。ここではそういった人事制度改正のタイミングをいくつかご紹介します。

会社の規模の拡大

会社の規模が拡大し、抱える社員が増えれば触れるほど、以前の制度では対応できない部分が生まれてしまいます。また、規模が拡大すると、社員が増えるだけでなく様々な部門も設立され、新たな業務も増えていきます。これらに対応するために、新たな人事制度を逐一構築する必要があるのです。

会社の業績の変化

人事制度は会社の業績に良くも悪くも影響をあたえます。会社の業績が向上している時ももちろん制度の見直しは必要ですが、業績が悪化している時には、より見直しの必要があります。
人事制度がしっかりしていないせいで、働いている社員のモチベーションに良くない影響をあたえ、業績悪化へとつながってしまうこともあるためです。会社の業績は働く社員によって支えられているので、迅速な対応が必要になります。

世の中の変化

働き方改革によって世の中の働き方への考え方に変化があった時には、制度の見直しも必要となるでしょう。最近だと、働き方改革が世の中に浸透していたり、コロナ禍での働き方も変化したりしています。
こうした世の中の変化に対応できないと、よりよい環境を求めて社員が転職してしまうこともあります。優秀な人材を確保するためにも、世の中の変化に敏感になり、制度を見直していきましょう。

期間を決めて定期的に

人事制度を定期的に検討・改正するという取り組みも良いと思います。問題が起きてから制度を見直すのは、場合によっては手遅れになることもあるためです。
こういったことを防ぐためにも、数年サイクルで人事制度を検討し、改正していきましょう。ただ、あまりにも短い期間で改正してしまうと、社員が混乱してしまうので、改定するタイミングをしっかり考える必要があります。

改定作業を行う前の準備

人事制度を改正するためには、いくつかの準備が必要になります。この準備を怠ってしまってはその会社にとって良い制度を作り上げることができません。よりよい人事制度を作り上げるために、ここではいくつか準備するポイントをご紹介します。

チーム編成

経営陣と人事部だけチーム編成をしては、制度改定の意味がなくなってしまいます。ですからチームを編成する際には、経営陣と人事部だけでなく、各部門の現場の代表者を選ぶ必要があります。
現場の代表者からの声をしっかり聞き取ることで、現場からの不満を解消し、新たな制度を反映させることができるのです。

現状把握

今の人事制度での課題をして徹底的に洗い出し、良いところはそのまま引き継ぎ、悪いところは改善する必要があります。現状をうまく把握していないと、せっかく制度を改定しても効果が薄れてしまいます。

基本方針の決定

課題を把握した上で、会社全体での基本方針を決め、チームで統一する必要があります。この基本方針に沿って制度を決めますので、重要な段階と言えます。また人事制度は経営戦略と密に関係していますので、経営陣との意見交換も必須です。

人事制度の中身を構築する

人事制度の基本的な中身は、等級制度・評価制度・報酬制度の3つで構成されています。各会社によっても取り入れる人事制度は異なりますが、一般的にはこの3つが基本です。

等級制度

等級制度では社内の役職や昇進するコースについて検討します。等級の数が適切に設定されていないと、社員のモチベーションをうまく保つことができません。等級の数が少なすぎると、中々昇進できず、モチベーションが低下してしまいます。また、等級の数が多すぎると、昇進した時の達成感や喜びが薄れてしまうので、これもまたモチベーションの低下につながるのです。ですから、会社の規模によって、等級の数を適切に決める必要があります。

評価制度

評価制度では、会社独自の評価基準を設ける必要があります。売上や結果を重視するのか、それとも日々の仕事への取り組み方を重視するのか、これらは会社の方針によって異なります。そしてその評価基準は、明確に決めましょう。評価基準が明確にされていないと、社員がどのように頑張ったら良いのか見失ってしまうので、具体的に決める必要があります。

報酬制度

報酬制度では、先ほどの等級制度や評価制度を用いて、報酬を決定していきます。適切に報酬制度を決めることで、会社のお金をうまく使うことができます。また、明確に決まっていると、社員のモチベーションにつながるので、できるだけ具体的に決めると良いです。

社員に通達

社内に新たな制度が行き渡るように公表します。この時には内容がしっかり伝わるように、資料の準備があれば良いでしょう。公表後にはアンケートなどを行い、フィードバックを得て制度の改善に努めましょう。せっかく作り上げても社員に認知されないと意味がないので、きちんと公表する必要があります。

法律のアップデートと現代の人事制度のトレンドをチェック

自分の会社に人事制度を取り入れる際には、現在の法律や人事制度のトレンドをチェックする必要があります。時代は常に変化していますので、これらを確認して自社の人事制度に反映させていきましょう。

法律のアップデート

2018年には働き方改革関連法が成立し、あらゆる企業の人事制度に影響をもたらしました。具体的には、フレックスタイム制の導入やパート労働法などが挙げられます。このように法律が変化すると必然的に、各企業は人事制度を見直さなければなりません。上手く適応していないと、社内の不満につながりますし、ひどい場合には法律に触れてしまうことも考えられます。この法律の変化にも柔軟かつ迅速に対応するために、厚生労働省のホームページなどでチェックするようにしましょう。

人事制度のトレンド

現在の日本・海外ではたくさんの人事制度が作られているため、たくさんの人事制度・トレンドが存在しています。
例えば、360度評価やMBOなどは、トレンドとして挙げられるでしょう。
360度評価は、上司、部下、同僚、自分自身で評価する制度です。この制度であれば、評価が客観的だけでなく主観的にも評価することができます。
また、MBOとは目標管理制度のことです。
それぞれの部門が掲げている目標に対して各個人が自ら目標を設定して、上司と部下の間で共有して、達成度に合わせて評価していく制度です。この制度では、達成度に応じて評価されていくので、モチベーションを維持しやすく、上司や部下のどちらにもメリットがあるのが特徴となっています。
ただ、他社の人事制度を取り入れる際には、自分の会社にとってプラスになるのか、また問題が発生しないかなど、検討する必要があります。

まとめ

人事制度は会社にとって、重要なものですので慎重に決める必要があります。
会社の業種や規模によっても異なりますので、自分の会社に合った制度を作り出すのは難しいかもしれません。
しかし、人事制度は社員のモチベーションや、会社全体の利益にも影響します。
ですので、他社の人事制度を取り入れてみたり、世の中の流れに乗ったりしながら、試行錯誤して作り上げていきましょう。